若山牧水の短歌
- 幾山河 こえさりゆかば さびしさの
はてなん国ぞ きょうも旅ゆく - 白鳥は かなしからずや 空の青
海のあおにも 染まずただよう - うすべにに 葉はいちはやく萌えいでて
咲かんとすなり 山ざくらの花 - まふ鳥の 影あきらけき 冬の朝の
この松原の 松のそびえよ - 山ねむる 山のふもとに 海ねむる
かなしき春の 国を旅ゆく - 白玉の 歯にしみとほる 秋の夜の
酒はしづかに 飲むべかりけり - 雲ふたつ 合はむとしてはまた遠く
分れて消えぬ春の青ぞら - 雲去れば 雲のあとよりうすうすと
煙たちのぼる朝間わが越ゆ - 高山の そのいただきに額あげて
風の寒きに 触れましものを