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歌人別短歌一覧
石川啄木の短歌
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石川啄木の短歌の中から個人的に選出した短歌です。
短歌
かめにさす 藤の花ぶさ みじかければ
たたみの上に とどかざりけり
たわむれに 母を背負いてそのあまり
軽きに泣きて 三歩あゆまず
東海の 小島の磯の白砂に
われ泣きぬれて 蟹とたわむる
頬につたふ なみだのごはず一握の
砂を示しし 人を忘れず
馬鈴薯の うす紫の花に降る
雨を思えリ 都の雨に
ふるさとの なまりなつかし 停車場の
人ごみの中に そを聴きに行く
ふるさとの 山にむかいて言うことなし
ふるさとの山はありがたきかな
砂山の 裾によこたはる流木に
あたり見まはし 物言ひてみる
非凡なる 人のごとくにふるまへる
後のさびしさは 何にかたぐへむ
さりげなく 言ひし言葉はさりげなく
君も聴きつらむ それだけのこと
かの時に 言ひそびれたる大切の
言葉は今も 胸にのこれど
はたらけど はたらけど猶わが生活
楽にならざり ぢっと手を見る
路傍に 犬ながながと呻しぬ
われも真似しぬ うらやましさにる
友がみな われよりえらく見ゆる日よ
花を買ひ来て 妻としたしむ
( Written by buzz )
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