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季語「稲妻(いなづま)」の解説と季語を使った俳句の例
秋の季節の季語の一つである「稲妻(いなづま)」です。
稲妻
「稲妻」は秋の季語で、秋の夜空に光る雷光を意味します。「稲妻」という言葉は、稲が実る頃に雷が多くなることから、稲の成長に必要な力や恵みの象徴ともされてきました。古くは雷が地中に潜む神が動き、作物を育てる力を授けると考えられており、農耕と密接に関わる自然現象です。秋の夜空に瞬く稲妻は、神秘的な美しさとともに、一瞬で消え去る儚さも感じさせます。俳句では、稲妻の光やその後の暗闇、または音との対比を詠むことで、秋の深まりや自然の力強さ、静けさとの調和を表現します。
季語「稲妻(いなづま)」を使った俳句の例です。
窓の外 稲妻光り 猫逃げる
解説:稲妻が光る瞬間に驚いた猫が逃げる様子を描いています。稲妻の光という一瞬の自然の力強さと、猫の素早い反応という対比が、視覚的にも動きのある情景として感じられます。窓の外という限定された視点から、部屋の中にいる作者の目線も自然に想像され、読み手にも身近な光景として伝わります。稲妻の「光り」と「猫逃げる」の対照的な動きが軽妙で、ユーモアも含んだ一句です。
稲妻や 光に浮かぶ 五重塔
解説:稲妻の光に照らし出された五重塔の荘厳な姿を描いています。「稲妻や」という切れ字によって、稲妻の強烈な光とその瞬間に浮かび上がる五重塔の美しさが際立ちます。一瞬の自然の驚異と、五重塔という歴史的な建造物の静謐さが対照的でありながら調和している点が見事です。稲妻が光ることで、普段とは違う神秘的な光景が浮かび上がり、まるで時間が止まったかのような幻想的な一瞬を捉えた一句となっています。
稲妻や 色づく山を 照らし出す
解説:稲妻が一瞬の光を放ち、その光によって秋の山が浮かび上がる情景を描いています。秋の山は紅葉や黄葉で色づき、その美しい色彩が、稲妻の強烈な光によって際立って見える瞬間を切り取っています。「稲妻や」という詠嘆の切れ字が、自然の力強さと美しさを際立たせ、俳句全体に緊張感とドラマチックな印象を与えています。稲妻が照らすことで、秋の山の存在が改めて浮き彫りになり、自然の美しさに感動する心情が込められた一句です。
著者 / Tommy Ikura
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