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季語「晩秋(ばんしゅう)」の解説と季語を使った俳句の例
秋の季節の季語の一つである「晩秋(ばんしゅう)」です。
晩秋
晩秋とは秋の終わりの時期を指し、10月末から11月にかけての季節感を表します。木々の葉が色づき、やがて落ち葉となって舞い落ちる頃であり、冬の気配が少しずつ近づいてきます。晩秋は、秋の豊かさや物寂しさ、移りゆく季節の終わりに対する静かな感慨が含まれ、詩情豊かな情景を詠む際に用いられます。自然が冬に向かう姿や、夕暮れ時の寂しさ、人々の心の移ろいなどを表現する俳句に適しています。
季語「晩秋(ばんしゅう)」を使った俳句の例です。
晩秋や 寺の石段 我一人
解説:晩秋の静寂の中、寺の石段を一人で歩む孤独な情景が描かれています。「我一人」という表現が、周囲の静けさとともに晩秋の寂しさや哀愁を際立たせています。晩秋という季語が持つ季節の終わりの侘しさが、寺という場所の厳かさや静謐さと相まって、深い趣を感じさせる一句です。誰もいない石段に響く自分の足音や、落ち葉の音が聞こえてきそうです。
晩秋や 枯葉の衣 まといけり
解説:晩秋の自然の中で、枯葉がまるで衣のように地面や木々を覆っている様子を詠んでいます。「枯葉の衣」という表現が美しく、自然そのものが静かに冬支度をしているかのような情景が浮かび上がります。晩秋の寂しさや、自然の移ろいを感じる一句です。同時に「まといけり」という表現が、枯葉に対する慈しみや柔らかな眼差しを感じさせ、自然と人間との共感が詠まれています。
晩秋や 賑わい去りて 鳥の声
解説:晩秋という季節がもたらす静けさと、そこで聞こえてくる鳥の声を対比的に詠んでいます。前半の「賑わい去りて」からは、かつて賑やかだった場所が今は静けさに包まれている様子が伝わり、後半の「鳥の声」がその静寂を際立たせています。人が去った後に自然が戻り、鳥の声だけが響く情景には、晩秋ならではのもの寂しさや美しさが込められています。余韻のあるシンプルな言葉が、静けさの中に漂う自然の生命力を感じさせます。
著者 / Tommy Ikura
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