季語「春(はる)」の解説と季語を使った俳句の例

春の季節の季語の一つである「春(はる)」です。

季語の解説:

「春」という季語は、四季の中で自然が再び命を芽吹かせる季節全体を象徴します。冬の厳しい寒さが和らぎ、草木が芽吹き、動物たちも活動を始める時期です。春の暖かさや希望、生命の息吹が感じられる一方で、別れや新しい出会いの季節としても捉えられます。人々は春の訪れに心が浮き立ち、風景や行動にも自然と春らしさが表れるため、俳句では広く使われる季語です。「春」という言葉ひとつで季節の移り変わりと、新たな始まりを感じさせ、俳句の世界を豊かに彩ります。

季語を使った自作の俳句:

季語「春(はる)」を使った俳句の例です。

春の街 新しき服で 歩き出す

解説:「春の街」という言葉から、新しい季節が訪れた希望に満ちた光景が広がります。「新しき服」は春の始まりにふさわしい装いであり、新年度や新生活のスタートを象徴しているようです。「歩き出す」という動詞により、作者自身あるいは登場人物が新たな一歩を踏み出す決意や軽やかな気持ちが伝わってきます。全体を通して、春らしい明るさと前向きな気持ちが感じられ、季節の移ろいと共に人々の心が動き出す瞬間を詠んだ俳句です。

春の風 蕾に触れて ほどけゆく

解説:「春の風」によって自然が動き出す様子を描いています。「蕾に触れて」という表現には、春の風のやわらかな感触と命の目覚めが感じられます。「ほどけゆく」という結びがとても美しく、硬く閉じていた蕾が少しずつほころんでいく情景が目に浮かびます。風と蕾という対照的な要素が見事に絡み合い、季節の優しさと生命の息吹が伝わる一句です。春の訪れを視覚と感覚の両面から表現しており、穏やかで品のある俳句に仕上がっています。

春の旅 軽きコートを 手に取りて

解説:春の訪れと共に旅立つ心情を詠んだ一句です。「春の旅」という言葉が持つ軽やかさと希望が、季語としても効果的に働いています。「軽きコート」という表現は、冬の重厚なコートから薄手のものに変わる季節感を表しており、春らしい暖かさと共に、心が軽やかになった様子が伝わってきます。「手に取りて」という動作によって、旅立ちの直前の静かな緊張感や期待が感じられ、句全体に春らしい爽やかさと前向きなエネルギーが満ちています。

有名な俳句、著名な俳人の俳句:

季語「春(はる)」を使った有名な俳句や著名な俳人の俳句をご紹介します。

蟇ないて 唐招提寺 春いづこ

作者:水原秋桜子

この道しかない春の雪ふる

作者:種田山頭火

方丈の 大庇より 春の蝶

作者:高野素十

今日何も 彼もなにもかも 春らしく

作者:稲畑汀子

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著者 / Tommy Ikura

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