高浜虚子の俳句
高浜虚子(たかはま きょし)が作者の俳句の中で、このサイトの季語の解説ページでご紹介している俳句の一覧を表示しています。
高浜虚子(たかはま きょし)は、明治7年(1874年)2月22日に愛媛県で生まれ、昭和34年(1959年)4月8日に亡くなりました。俳人・小説家として活躍し、日本文学に大きな影響を与えました。家族には、長男の高浜年尾(たかはま としお)や孫の稲畑汀子(いなはた ていこ)など、俳句や文学の分野で活躍した人物がいます。
雨の中に 立春大吉の 光あり
季語:立春(りっしゅん)
如月の 駕に火を抱く 山路かな
季語:如月(きさらぎ)
鎌倉を 驚かしたる 余寒あり
季語:余寒(よかん)
早春の 庭をめぐりて 門を出でず
季語:早春(そうしゅん)
この庭の 遅日の石の いつまでも
季語:遅日(ちじつ)
春の空 人仰ぎゐる 我も見る
季語:春の空(はるのそら)
山の背を ころげ廻りぬ 春の雷
季語:春雷(しゅんらい)
春雨の かくまで暗く なるものか
季語:春雨(はるさめ)
雪の果 これより野山 大いに笑ふ
季語:雪の果(ゆきのはて)
刈株に 小草花咲く 春田かな
季語:春田(はるた)
春潮と いへば必ず 門司を思ふ
季語:春潮(しゅんちょう)
腹に在る 家動かして 山笑ふ
季語:山笑ふ(やまわらう)
大試験 山の如くに 控へたり
季語:大試験(だいしけん)
運命は 笑ひ待ちをり 卒業す
季語:卒業(そつぎょう)
草餅の 重の風呂敷 紺木綿
季語:草餅(くさもち)
苗床の 地虫を箆で はねにけり
季語:苗床(なえどこ)
白酒の 紐の如くに つがれけり
季語:白酒(しろざけ)
海女とても 陸こそよけれ 桃の花
季語:海女(あま)
山国の 蝶を荒しと 思はずや
季語:蝶(ちょう)
この池の 生々流転 蝌蚪の紐
季語:蝌蚪(かと)
夏草に 延びてからまる 牛の舌
季語:夏草(なつくさ)
大晦日 こゝに生きとし 生けるもの
季語:大晦日(おおみそか)
一月や 去年の日記 なほ机辺
季語:一月(いちがつ)
灰の如き 記憶ただあり 年暮るる
季語:年暮るる(としくるる)
年惜しむ 心うれひに 変りけり
季語:年惜しむ(としおしむ)
年越の 老を囲みて 児孫かな
季語:年越(としこし)
大寒の 埃の如く 人死ぬる
季語:大寒(だいかん)
うせものを こだはり探す 日短か
季語:日短(ひみじか)
手で顔を 撫づれば鼻の 冷たさよ
季語:冷たし(つめたし)
なつかしき 京の底冷え 覚えつゝ
季語:底冷え(そこびえ)
節分や 鬼も医師も 草の戸に
季語:節分(せつぶん)
天地の 間にほろと 時雨かな
季語:時雨(しぐれ)
一つ葉に 初霜の消え 残りたる
季語:初霜(はつしも)
時々に ふりかへるなり 隙間風
季語:隙間風(すきまかぜ)
やはらかき 餅の如くに 冬日かな
季語:冬の日(ふゆのひ)
風花の 今日をかなしと 思ひけり
季語:風花(かぜはな)
唯一つ 大きく鳴りぬ 雪起し
季語:雪起し(ゆきおこし)
手袋の 左許りに なりにける
季語:手袋(てぶくろ)
硝子戸に おでんの湯気の 消えてゆく
季語:おでん
襟巻の 狐の貌は 別に在り
季語:襟巻(えりまき)
マスクかけ 仄かに彼の 眉目かな
季語:マスク
世の様の 手に取る如く 炬燵の間
季語:炬燵(こたつ)
竹馬を よけて通るや 猿まはし
季語:竹馬(たけうま)
寒稽古 病める師匠の 厳しさよ
季語:寒稽古(かんげいこ)
寒声に 嗄らせし喉を 大事かな
季語:寒声(かんごえ)
一冬の 寒さ凌ぎし 借頭巾
季語:頭巾(ずきん)
そこにある ありあふものを 頬被
季語:頬被(ほおかむり)
だぶ/\の 足袋を好みて はきにけり
季語:足袋(たび)
かりに着る 女の羽織 玉子酒
季語:玉子酒(たまござけ)
又例の 寄鍋にても いたすべし
季語:寄鍋(よせなべ)
今宵はも よろしき凍や 豆腐吊る
季語:凍豆腐(しみどうふ)
沢庵や 家の掟の 塩加減
季語:沢庵(たくあん)
松過ぎの 又も光陰 矢の如く
季語:松過ぎ(まつすぎ)
酒もすき 餅もすきなり 今朝の春
季語:今朝の春(けさのはる)
去年今年 貫く棒の 如きもの
季語:去年今年(こぞことし)
何をもて 人日の客 もてなさん
季語:人日(じんじつ)
大濤に をどり現れ 初日の出
季語:初日の出(はつひので)
初空や大悪人虚子の頭上に
季語:初空(はつぞら)
一行の 心を籠めし 年始状
季語:年賀状(ねんがじょう)
初夢の 唯空白を 存したり
季語:初夢(はつゆめ)
初暦 頼みもかけず 掛けにけり
季語:初暦(はつごよみ)
数の子に 老の歯茎を 鳴らしけり
季語:数の子(かずのこ)
歌留多 とる皆美しく 負けまじく
季語:歌留多(かるた)
たとふれば 独楽のはぢける 如くなり
季語:独楽(こま)
手毬唄 かなしきことを うつくしく
季語:手毬(てまり)
蓬莱に 徐福と申す 鼠かな
季語:蓬莱(ほうらい)
不精にて 年賀を略す 他意あらず
季語:年賀(ねんが)
初句会 浮世話を するよりも
季語:初句会(はつくかい)
竹馬を よけて通るや 猿まはし
季語:猿廻し(さるまわし)
大服を ただたぶたぶと 召されしか
季語:大服(おおぶく)
太箸の たゞ太々と ありぬべし
季語:太箸(ふとばし)
掃きぞめの 帚にくせも なかりけり
季語:掃初(はきぞめ)
からからと 初湯の桶を ならしつつ
季語:初湯(はつゆ)
まだ何も 映らでありぬ 初鏡
季語:初鏡(はつかがみ)
宝舟 目出度さ限り なかりけり
季語:宝船(たからぶね)
神慮今 鳩をたゝしむ 初詣
季語:初詣(はつもうで)
七種に 更に嫁菜を 加へけり
季語:七種(ななくさ)
ここに又 出初くづれの ゐたりけり
季語:出初(でぞめ)
たてかけて あたりものなき 破魔矢かな
季語:破魔矢(はまや)
三寳に 登りて追はれ 嫁が君
季語:嫁が君(よめがきみ)
初鶏や 動きそめたる 山かづら
季語:初鶏(はつどり)
楪の 赤き筋こそ にじみたれ
季語:楪(ゆずりは)
片づけて 福寿草のみ 置かれあり
季語:福寿草(ふくじゅそう)
人並に 若菜摘まんと 野に出でし
季語:若菜(わかな)

著者 / Tommy Ikura
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